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韓国のオンラインショッピング戦争〜過剰包装と労働環境に潜む闇〜

更新日:2021年12月20日



ここ数年、韓国ではオンラインショッピングの競争が激化している。先日、韓国の大手スーパーマーケットチェーンを展開しているロッテグループが営業中のロッテマートとロッテ百貨店の30%を閉店すると発表した*。閉店に至った最大の理由は、オンラインショッピングの急速な発展により、オフライン店舗の経営が逼迫したことだ。


韓国のオンラインショッピングの発展は目を見張るものがあり、業者により多少違いはあるが、午後3時ごろまでに発注すれば、次の日に家で注文した商品を受け取れる。国土がさほど広くないため、陸内であれば、どこから発送しようとさほど時間がかからないのも事実である。


5、6年前までのオンラインショッピング業者の役割は、個々のお店を一つのサイトに集約し、カテゴリや価格帯別で検索可能にするというものであった。しかし、昨今、韓国ではオンラインショッピングサイトが在庫を持ち、自社の配送員が配達するという形式が注目を集めている。CoupangやMarket Kurly、大手スーパーチェーンのEmartなどが業界を先導している。夜12時までに注文すれば、翌日に必着というスピードと、近くのスーパーでは入手できないようなものなどを揃えることが人気の理由だ。特に、冬は子どもを連れて屋外に出ることを躊躇するほど気温が下がる上に、季節を問わず襲来するPM2.5の影響で、外出がままならない子育て層の心を鷲掴みした。直近の問題では新型コロナウイルスの影響拡大に伴い、オンラインショッピングの売り上げは右肩上がりになり、オフライン店舗の売り上げはより厳しい状況になっている。


オンラインショッピングの競争はさらに激化し、早朝や深夜にまで配達時間を拡大した。「雇用の創出」にも繋がるように一見思うかも知れないが、時給換算した場合、最低賃金に満たないケースが危惧されている。業務委託契約で配達要員を大量投入し、配達部隊を早朝、昼間、夕方、深夜に分けている業者もあり、配達する箱1つあたりの単価で賃金が支払われ、出来高制になっている。車は自家用車、ガソリン代も自腹、配達中に起きた事故に対する保険未加入など、配達要員は多様なリスクを負う。これらを問題提起する方々がいる反面、自分のスケジュールに合わせて自由に勤務できるスタイルを選好する方々はリスクがあることを感じていても、そのまま働き続けるという実態がある。


また、梱包作業を効率化するために、箱のサイズが限られており、商品のサイズとは全く合わない大きな箱に入ってくることが多々ある。素早く配達してくれるオンラインショッピングのおかげで便利さを手に入れたが、心のどこかでその裏にある環境への配慮欠如を懸念している消費者も多く、簡易包装を訴える声が上がっている。


梱包材からプラスチックを排除したり、保冷剤に入るゲルを水100%に変えたりと、環境への配慮は増えてきているが、やはり過剰包装はいまだ深刻な問題として残っている。


便利の裏に潜む闇は深い。オンラインショッピング戦争はどんどん激しくなる一方で収束する気配すら見えない。そうなると、劣悪な雇用形態や過剰包装により大量のゴミは一向に減少することがない。


便利を手に入れた分、代償があることを忘れてはならない。環境問題が年々、深刻化している中で、私たちは今、目の前の便利をとっていいのか、いま一度考えてみよう。また、この便利なサービスの裏を支えているのは、決して快適とは言えない雇用形態があることも考えなければならない。


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執筆: 孔慶順(一般社団法人コレクティブ・アクション)



【参考】(韓国語 原文のまま)


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